あらすじ
高校最後の夏。
三塁のレギュラーだった俺は、大会直前の練習試合で右腕を骨折した。
甲子園まで勝ち進んでも、復帰には間に合わない。
代わりに三塁を守るのは、中学からずっと切磋琢磨してきた親友・健太。
誰より努力してきたことを知っている。
だから、あいつが試合に出ることに文句なんてない。
――そのはずだった。
地方大会三回戦。
格下と思っていた相手に、チームはまさかの苦戦を強いられる。
スタンドから声を張り上げながら、俺の胸に最低な考えが浮かぶ。
俺がいたら、違ったんじゃないか。
誰かが代わりに怪我をすればよかったなんて思えない。
それでも、どうして自分だったのかという悔しさは消えてくれない。
試合に出られない。
守ることも、打つこともできない。
できるのは、ただ声を出すことだけ。
そして一点を追う最終回。
二死で打席に立ったのは、健太だった。