あらすじ
ゴールデン街の『小料理・かづさ』のマスターである37歳の松下加津佐は、正式に区役所にもマイアミの裁判所にもパートナーの届出を出した男、新宿東署生活安全課の刑事で伝説の女形こと市川静馬との愛を大切に育んでいた。
そんな静馬が46歳になった日、署に一報が入る。
風営法で組対がガサ入れをした店に、未成年達がいた。
うち一人、薬物中毒の渡辺玖美は、かつて静馬が臨場した家庭内暴力事件で、父親に殴られた娘であった。
だが、児童相談所や、当人達からの聴取で、娘の度重なる反抗に手を焼いた父親が、娘を心から心配するあまり厳しく叱ったのだということが判明した。
勾留はされたが、父親は殴った本当の理由を決して口にぜず、私選弁護人も拒否したため、裁判所の裁可に時間がかかり、結果として10日も勾留されてしまった。 不起訴とは言え、父親は商社マンとしての人生を閉ざされた。
玖美もその後受験に失敗し、家出をしていた最中での補導だったのだった。
母親は娘を拒絶し、憎み、事件時の記憶を失っている小五の息子・美隆を守ることに必死である。
自分の判断が間違っていたのか……逮捕された娘に対峙した静馬は、深く懊悩する……。
13歳の時から義兄から性的搾取をされた経験を持つ静馬。
そして13歳の時に親に売られ、体を張って生き抜いてきた加津佐。
共に少年期に癒えぬ傷を持つ二人が、壊れた家庭の実情を通じて何を思うのか……。