あらすじ
伯爵家の初代夫人イザベルは、百年前、魔術師の眠りの術で眠りについた。老いず、十八の顔のまま。
目覚めると、屋敷は曾孫レオンスの代で、曾孫の嫁ジョルジェットが屋敷を仕切っていた。「どこの小娘」と嗤われ、離れに追いやられる。
イザベルは言い返さない。ただ、ジョルジェットが「家訓」を盾に使用人を追い出そうとするたびに、「その家訓、続きがございますのよ」と原本を示すだけ。家訓を書いたのは、イザベル自身。屋敷の隠し扉も、当主だけが知る合言葉も、全部、イザベルが作ったもの。
嫁は自分の嘘で自滅し、最後に「怖かった。この家に居場所がなくて」と白状する。イザベルは「居場所は、作るものですのよ」と一室を与える。
一方、百年前に眠りの術をかけた魔術師の末裔、王宮魔術師の伯爵カジミールが、屋敷を訪ねてくる。「曾祖父の日記に、あなたの目覚める日が書いてあった。私はその日を、待つために生まれた」。
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。