あらすじ
――眠れない夜に、帰ってくる場所を。
日付が変わる頃、街の片隅にひっそりと現れる一軒の店。
その名は、夜灯堂。
地図には載っていない。
住所を尋ねても、誰も知らない。
けれど、夜の中を歩いていると、ふと辿り着くことがある。
眠れない夜。
誰かに会いたい夜。
頑張りすぎてしまった夜。
帰りたいのに、帰れない夜。
店主のさきは、訪れた人の話を聞き、その人のために小さな香り袋を作る。
それは悩みを消す魔法ではない。
ただ、つらい夜がほんの少しだけ楽になるように。
明日の朝を迎えるまで、心を休められるように。
人間も、もののけも、魔法使いも。
夜灯堂を訪れる理由は、それぞれ違う。
けれど、どんな夜にも――
「おかえり」と言ってくれる場所がある。
「また迷ったら、おいで」
今夜も、必要な人のもとへ夜灯堂は現れる。