あらすじ
長年、欧州車に乗ってきた私は、日本車のシートにどこか物足りなさを感じていた。エンジンも足回りもブレーキも進化しているのに、なぜ長時間座ると疲れやすいのか。
その違いを考えているうちに、日本の床座文化とヨーロッパの椅子文化という、もっと長い歴史へ行き着いた。
近代日本の椅子観、自動車シート研究、腰椎支持と柔らかさの評価差、そして近年のマツダによる骨盤・脊椎支持の研究。
床文化がそのまま日本車のシートの差を生んだと断定はできない。だが、人が何を「座り心地」と感じるかには、文化の蓄積が残っているのではないか。
プジョー406クーペからマツダ2へ乗り換えた自身の経験を手がかりに、「椅子に身体を預ける」ということを考えるエッセイ。