あらすじ

「違約金など払えるか。伯爵家ごときが、侯爵家に請求できると思っているのか」 夜会の広間で婚約破棄を宣言した侯爵嫡男のフィリベール様は、私が差し出した婚約契約書の写しを見て、そう吐き捨てた。 私はセレーヌ、伯爵家の娘で十九歳。父の代わりに、家の契約書は全部私が読んでいる。第七条には、破棄した側が違約金を払うと書いてある。金貨三千枚。 「承知しました。では、現物でいただきます」 第八条には、金で払えないときは同額の現物で、と書いてある。侯爵家が署名した契約書に。 翌朝、王都の執行官が侯爵家の門を叩き、うちの玄関へ運び込んできた。一日一つ。査定して、運び出す。 一日目は玄関の大理石の女神像。二日目は四頭立ての馬車。三日目は料理長。四日目は舞踏室のシャンデリア。 「本日の一つは、これでよろしいか」 査定表に署名なさるのは王都の執行官長、若い公爵閣下。毎朝うちの玄関で署名をなさり、それから私の淹れた茶を一杯飲んで帰られる。引き渡しの立ち会いについて来るフィリベール様は、閣下に毎朝頭を下げる。 五日目に運び出す一つは、婚約者様のお部屋の中身そのものです。 払えないのなら、現物で頂戴いたしますわ。

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小説を読もう2026/09/08
  • 現在の作品「違約金など払えるか」と婚約破棄されましたので、現物でいただきます~毎朝一つずつ、侯爵家から家財が運び出されていくのですが~