あらすじ
二軒の親族工房を立て直すたび、ポロナの名は納品帳から消え、給金は父に渡り、不良品の責任だけが残された。三軒目の公爵家保護工房で、老親方マティヤは初めて彼女自身に雇用帳へ署名させる。椅子も食事も一人分。けれど、世話を焼くヤネスの独占雇用には待ったをかけたい。ポロナは旧工房へ送る品質照会に、本人の署名と職人印を求める一文を加えた。届いた回答、注文主の受領署名、二軒の納品帳を王都職人院の確認席へ並べ、父と工房主たちに問いかける。「この署名はあなたのものですか」――奪われた銘と給金を、彼ら自身の声で公に取り戻す蜜蝋職人のお話。