あらすじ
近未来。
ソーシャルVRは、もう特別なものではなくなっていた。
仕事が終わったら、いつもの場所に行く。
そこには、何年も顔を知らないまま付き合っている友達がいて、現実では一度も会ったことのない恋人がいて、ときには家族みたいな誰かもいる。
アバターを着替えて、くだらない話をして、眠くなったらそのまま寝落ちする。
そんな時間を繰り返しているうちに、そこにも「いつもの場所」ができていく。
けれど、そこが生活の一部になれば、今までにはなかった面倒ごとも生まれてくる。
本人がいないのに残り続けるアバター。
現実の身体を持たないバンドのボーカル。
長年使ってきた身体を手放さなければならなくなる日。
誰かから受け継いだ、たくさんの人にとっての居場所。
そして、そこで生まれてしまった家族。
これは、未来の技術の話というより、今ある暮らしの、ほんの少し先の話。
友達になったり、恋をしたり、喧嘩したり、帰る場所を作ったり。
そんな、現実のすぐ隣にあるかもしれない日常を描く連作短編集。