あらすじ
「三度の茶会で縁談が決まらなければ、領地へ戻ります」
家に残る悪評のせいで招待状さえ届かなくなったアグロン様を王都に引き留めるため、私は彼にふさわしい令嬢を探すことにした。主催家の未婚女性は候補名簿に載せない慣例なので、空いた最上段は飛ばしておく。
一度目も二度目も席次は完璧。候補との会話も順調――なのに、なぜかアグロン様は返事のたびに私の顔を確かめてくる。
そして迎えた三度目。最有力の令嬢が席札を伏せると、彼は名簿を私へ返し、空欄を指さした。
「私が見ていたのは、ここに名のない人だけです」
誰かの幸福ばかり整えてきた私が、初めて自分の望みを選び、彼の隣へ席を移すまでのお話。