あらすじ

博打をやめて、普通の人生を送りたかった。 彼女を作って、結婚して、幸せな家庭を築きたかった。 35歳のゆうさくには、そんなささやかな夢があった。 だが、地元の仲間たちに誘われ続け、博打から抜け出せない。会社では嘘を重ねて金を借り、気がつけば借金は一千万円を超えていた。 そんなある日、仲間の一人が言った。 「強盗すれば、遊ぶ金なんていくらでも手に入る」 断りたかった。 それでも、ゆうさくは仲間に流され、犯行の準備をしてしまう。 そして犯行当日。 待ち合わせ場所に現れた仲間は、誰一人いなかった。 一人で火炎瓶を投げ込んだ家から逃げてきた家族。 その中にいたのは、かつて自分を何度も助けてくれた会社の上司だった。 パニックに陥ったゆうさくは、取り返しのつかない罪を犯す。 仲間たちは強盗など知らない顔で合コンをしていた。 逮捕され、裁判にかけられ、すべての恨みを一身に受けたゆうさく。 そして彼が送られたのは――日本国内に存在する、地図にも記録されていない刑務所だった。 そこには刑務官がいない。 監視カメラもない。 囚人は自由に刑務所を歩き、隣接する巨大集落にも自由に出入りできる。 だが、その集落は高さ数十メートルにも及ぶ巨大な壁によって外界から完全に閉ざされていた。 村人たちは全員、奇妙な仮面を被っている。 そして一年に一度、この集落では「祭り」が行われる。 祭りに必要なのは――人間。 外の世界では人生を捨てた男だったゆうさくは、この場所で初めて思う。 「外に出たい」 「もう一度だけ、やり直したい」 しかし、彼はまだ知らなかった。 この刑務所にいる囚人たちは、なぜ誰も逃げようとしないのか。 村人たちは、なぜ仮面を外さないのか。 そして―― この閉ざされた集落で、毎年何人もの囚人が消えている理由を。 一度入ったら、二度と外へ戻れない。 罪を犯した男が最後に望んだのは、罪のない人生ではない。 ただ一度だけ―― 「普通に生きること」だった。

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小説を読もう2026/09/08
  • 現在の作品閉鎖された巨大集落にある刑務所で