あらすじ
名前が消える。
言葉が制限される。
愛情が数値で管理され、
優しさが返品できるようになる。
この短編集は、
そんな「少し先の未来」に見える街を舞台にした
20の小さな物語です。
担当者が存在しない会社、
あだ名だけが残る部署、
既読だけが愛の証明になる関係、
愛が公共財として再配分される社会――
どの話も、はっきりした説明や答えを持ちません。
登場人物たちは、
世界を変えようとしません。
正しさを証明しようともしません。
ただ、
その日をどう歩くかを選び続けます。
説明されない違和感。
言い切れない気持ち。
近づきすぎない距離。
それらを抱えたままでも、
人は生きていけるのか。
これは、
「解決しないままでも生きられる」
という感触を残すための、
都会メルヘン短編集です。
読み終えたあと、
少し安心して、
少し不安なままでいてもらえたら、
それで十分だと思っています。
今日も、
それだけで歩けるなら。