あらすじ
「あの子は妹のようなものだ。嫉妬しないでくれ」
夜会の付き添いをすっぽかして幼馴染の見舞いへ行った婚約者は、翌朝そう言った。
私はドロテーア、伯爵家の娘で十九歳。侯爵家のルートヴィヒ様と婚約して三年になる。妹のようなもの。それなら、話は早い。
「承知しました。妹でしたら、姉になる私がお世話いたします。お嫁入りの支度から、お相手探しまで」
その日のうちに、侯爵家の大奥様のお名前で、幼馴染のエーファ様へ嫁入り修行の招待状を出した。刺繍と家政のお稽古で、ルートヴィヒ様にお会いする暇は消えた。持参金は侯爵家が用意する。エーファ様のお父上は大喜びで、縁談に前のめりになった。
エーファ様には、本物のお兄様がいらっしゃる。毎朝「妹の相談」を口実に、ご自分でいらっしゃる。妹のお話は三分で終わり、あとは私の話ばかり聞いていかれる。
お見合いの茶会。付き添い席で不機嫌な婚約者に、私は申し上げた。
「嫉妬なさらないで。妹のようなものでしょう?」
妹なら、姉が嫁がせますわ。
お義妹様のお嫁入り先が決まり、本物のお兄様に「妹ではなく、姉上のほうを頂きたい」と言われるまでの五日の話。