あらすじ
「……次は絶対負けねえ」
デビュー戦、わずか三十秒。
アキトは負けた。
才能がなかったわけじゃない。
隠された力が目覚めるわけでもない。
伝説の血筋でも、選ばれた英雄でもない。
ただ一つ。
こいつは、とんでもなく負けず嫌いだった。
舞台は、国家が消滅した未来。
高度AI《マリア》によって生存のための労働から解放された人類は、競技、創作、娯楽に人生を注いでいた。
そして世界中を熱狂させている競技がある。
アーマードファイト《戦(いくさ)》。
己の身体と脳波で二十メートル級人型機動体《キジン》を操り、相手の《角》を奪う。
剣士がいる。
格闘家がいる。
舞う者がいる。
ただひたすら一撃を極めた者がいる。
強さに、正解などない。
そんな世界で、アキトは負け続ける。
負けて、考える。
試して、また負ける。
だったら変える。
それでも駄目なら、また考える。
何度でも。
やがて、一人で勝つことにこだわっていた青年は仲間と出会う。
ライバルと出会う。
自分とはまるで違う「強さ」と出会う。
一人では届かなかった場所へ、誰かとなら届くことを知っていく。
始まりは、たった一つだった。
――負けたくない。
世界を救うつもりなんてなかった。
英雄になりたかったわけでもない。
ただ目の前の敗北が、死ぬほど悔しかった。
だから、もう一回。
もう一回。
あと一回。
その諦めの悪さが仲間を変え、
戦場を変え、
そしていつしか――
世界の未来まで変えていく。
これは、最強の男の物語ではない。
何度負けても「まだ終わってない」と立ち上がり続けた、
一人の男と、29人の仲間の物語。
――諦めの悪さが、世界を変える。