あらすじ

加藤白嶺は、生後十か月の娘・彩華を育てるシングルマザー。 昼は中規模企業の営業企画部主任として働き、帰宅すれば冷めたコーヒーを飲み、洗濯物を放置し、娘に白い髪を引っ張られる。どこにでもいるとは言い難いが、それでも人並みの日常を生きていた。 しかしある日、街から“赤”が消え始める。 人の感情に寄り添い、甘い救いを与え、その代わりに大切な何かを奪っていく色の霊たち。 その姿を見分けられるのは、白嶺だけだった。 夜になると、白嶺は中古の黒着物を纏い、長刀「宿彩」を手にする。白髪は膝まで伸び、その一部が虹色に染まる。 色霊を斬り、人から奪われた感情を自らの内へ封じるために。 だが、色を取り戻すたび、怒り、悲しみ、未練、愛情――数え切れない感情が白嶺を侵食していく。 守りたいのは、娘とのささやかな暮らし。 そのために戦うほど、白嶺自身の心は少しずつ削られていく。 母親であることと、一人の人間であること。 そのどちらも手放さないために、白嶺は今夜も色を斬る。

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小説を読もう2026/09/08
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