あらすじ
残り七日。テオはついにアースへ全てを打ち明ける。アースは「一人では無理」と正直に認めながらも、「一人じゃなければできるかもしれない」と前を向く。恩師ノーラ先生、村の上級生たち、そして急報を受けて駆けつけたマーリンが加わり、即席のチームが結成される。フィッツジェラルド伯爵も「正式な鉄道計画とは切り離した人道支援」として、独自の裁量でこの挑戦を許可する。
一同は、かつて職人たちが数十メートル進んで諦めた古い鉱山道を起点に、灰色連峰を貫く隘路づくりに挑む。交代しながらの過酷な作業の中、崩落の危機が訪れ、テオは無理を続けようとするアースを「お前が潰れたら元も子もない」と制止する。皆で支え合いながら乗り越えた三日目、ついに山の反対側へ抜ける狭い隘路が開通する。
危うい均衡の上に成り立つこの道は、一度きりしか使えない。開通の知らせを受けたハキームが命がけで隘路を越え、国境で待つ技術者たちに部品を届けたことで、ジャスミンの国は期限のわずか半日前に救われた。すべてが終わった後、崩れかけた隘路の前でテオはアースに「これは始まりだよ」と語る。危険な一度きりの道ではなく、いつか誰もが安全に使える本物の鉄道をこの山に通す――そう誓う兄弟の姿と共に、ジャスミン危機編(第6〜10章)は静かに幕を閉じる。