あらすじ

都築陽介、三十歳。大手CG制作会社で働く契約社員の建築CGクリエイター/CGディレクター。図面や仕様書をもとに、まだ存在しない建物の光、素材、植栽、家具、人の動きまで組み上げ、完成後の姿を誰よりも早く画面に描き出す。 ところが、彼が手がけるCGには、元データにないものが現れる。建て替え前の団地で手を振る少年。閉館した映画館を満たす観客。大学教職員宿舎の広場で遊ぶ子どもたち。ガラス工場の記憶を宿した光の文様。それらは、保存されなかった建物の亡霊ではない。そこで生きた人々が、未来へ残そうとする小さな伝言だった。 陽介は異変の正体を追うだけでなく、その記憶が何を伝えようとしているのかを考える。昔の景色をそのまま再現するのではない。芝生広場、シアタールーム、人の目線が交わる映像、現代の技術で作り直されたガラスへと、過去の記憶を新しい暮らしの中に翻訳していく。 CGは、未来を正確に見せるための技術だ。しかし、いくつもの未来を作れる時代だからこそ、何を見せ、何を残すかは人が選ばなければならない。やがて陽介自身も、CGで何を見せたいのかという問いに向き合う。建築CGの制作現場を舞台に、「場所の記憶」と「まだ誰も見たことのない未来」が交差する、一話完結型の連作ヒューマンドラマ。

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カクヨム
カクヨム2026/09/08
  • 現在の作品【漫画原作脚本】『過去からの伝言 ― 建築CGクリエイターの奇跡』