あらすじ
三軒のコインランドリーを、夜通し見回る管理人、ゆき。回っている機械の数を紙に書き、忘れ物を籠に入れ、朝、鍵を渡す。ゆきの二年は、それで足りていた。ある夜、誰も使っていないはずの三号機の中に、白いシャツが四つに畳んで置かれていた。乳飲み子を抱えた母は「小さい手が、うちの洗濯物を畳んでいた」と言い、タクシー運転手は「上着だけしか、ここでは洗わん」と言い、洗濯物を持たない爺さんは「畳んであるやつは、着たらあかん」と言う。赤ん坊の生まれた家で、この町の年寄りが口にする言葉、まちち。それが何かを、町の誰も説明しない。数えることで夜を越えてきた女が、数えられないものと向き合う、長編ホラー。