あらすじ
小学六年生の少年・一(はじめ)の中には、姉がいる。
転生を繰り返し、鬼や妖を退治してきた「姫」――五十鈴(いすゞ)姫だ。
身寄りのない一にとって、自分を育ててくれる人たちは家族も同然。
少しでもその恩を返したいと考える一を見て、姫が思いついたのは、自らの力で怪異を退治し、その様子を動画配信してお金を稼ぐこと。
ところが、本物の怪異を退治しているにもかかわらず、世間からは色物のコスプレ配信者扱い。再生数はさっぱり伸びない。
そんな二人の日常には、いつも愛犬・よっちゃんの姿がある。
一見ごく普通の犬だが、どうやら姫とは何か因縁があるらしい。
ある日、一の同級生たちが、十年前に閉院した神祇総合病院へ肝試しに向かったまま帰ってこなくなる。
子どもたちを捜すため、病院へ向かう一と姫。
そこで二人は、病院に隠された異様な光景を目の当たりにする。
そして、その病院が自分たちの出生とも深く関わっていることを知っていく。
なぜ姫は、転生を繰り返してきたのか。
なぜ姉である姫は、一の中にいるのか。
そして、二人の出生に何があったのか――。
幾度も転生を繰り返す姫と、姫が何よりも大切にする弟・一。
怪異とともに二人の過去が紐解かれていく、現代怪異譚。