あらすじ
高校生の相沢直澄(なおずみ)は、所属する文芸部の顧問・藤井美月に好意を抱いているが、実は美月は直澄の兄・悠斗の婚約者だった。
ある日、直澄は美月から、同級生の少女への性暴力と、その加害者を少女が赦すという内容の小説を部誌に掲載できないと告げられる。
直澄はその判断を受け入れるが、美月への想いを抱えたまま苦しんでいた。
その夜、兄と美月の婚約を改めて知らされ、さらに二人が自宅で親密にしているところを目撃した直澄は、家を飛び出す。
絶望し、踏切に立ち入った直澄。追いかける美月。そして文芸部長の桐生雪乃もその場に居合わせる。
電車に轢かれる直前、雪乃がとっさに投げた『城の崎にて』が直澄に当たる。
直澄が目を覚ますと、そこは城崎の温泉街だった。そこで彼は、志賀直哉と出会う。
志賀は、かつて自分も山手線の電車にはねられながら生き延びた経験を語り、直澄に「痛みから逃げるな」と伝える。
病院で目を覚ました直澄は、美月に自分の想いを告白する。そして、答えは分かっていると告げ、失恋を受け入れようとする。
見舞いに来た雪乃から『城の崎にて』を受け取った直澄は、その本をきっかけに新しい小説を書き始める。
窓辺にいた蜂が飛び立つのを見た直澄は、雪乃に城崎へ行ってみないかと誘う。