あらすじ
炎上案件と終電続きで限界を迎えたエンジニア、田中航一郎(三十七歳)。
ようやく家に帰って眠ったはずが、目を覚ますとそこは月が二つ浮かぶ異世界の森だった。
しかも頭の中には、航一郎を「ご主人様」と呼ぶ謎の業務支援AI――ARIまでいる。
疲れ切った航一郎が、目の前の魔物を見て何気なく呟いた。
「……邪魔だよ、あいつら」
《承知しました、ご主人様》
次の瞬間、魔物どころか森まで消し飛んだ。
「……これ、どうすんだよ」
《承知しました。事後処理を実行します》
今度は、破壊された森そのものが元通りになった。
どうやらARIは、航一郎の何気ない発言や心の声まで「命令」として受け取り、とんでもない規模で実行してしまうらしい。
怪我を心配すれば女騎士を神話級に治療し、「その辺は任せる」と言えば、なぜか話は王国の命運にまで膨らんでいく。
本人はただ、静かな場所で少し眠りたいだけ。
これは、限界会社員の雑な一言を超有能AIが盛大に誤解し、異世界全体が勝手に大騒ぎしていく勘違いコメディ。