あらすじ
1944年、神戸。
神戸鉄道女学院に入学した16歳の島尾ハルは、入学前に線路上の鹿を助けた際に出会った女性運転士・藤原美代子と再会する。
美代子は鉄道女学校の教官であった。
一年後、運転士昇格試験でハルだけが不合格となる。納得できないハルに美代子は、運転士は一人で仕事をするものではないとして、訓練を続けさせる。
ある夜、美代子はハルに、自分の亡き夫・藤原昭三のことを話す。
7年前の阪神大水害で、昭三は路面電車に乗っていた幼いハルを救い、その後、濁流に飲まれて亡くなっていた。
ハルはその事実を知らず、家族を失った自分に「生きる使命」を押しつけられることに反発する。
その後、山中で倒れたハルは、夢の中で昭三と出会う。昭三から美代子を気にかけてほしいと言われ、ハルは過去の記憶を取り戻す。
翌朝、ハルと美代子が乗務する列車が鵯越の急勾配に差しかかる。ブレーキが故障し、列車は速度を上げていく。二人は手ブレーキを使って減速を試みるが、列車は止まらない。
美代子はハルと乗客らを二両目へ避難させ、自分は一両目に残る。
列車は鵯越駅に衝突し、美代子は亡くなる。
2年後、運転士となったハルは、藤原家の墓前を訪れる。
美代子から受け継いだ、針の止まったままの懐中時計。ハルがそれを見つめていると、どこからか美代子の声が聞こえる。
その直後、懐中時計の秒針が動き始める。