あらすじ
「はぁ、お前のような妹のことなど記憶から消したい。情けなくて恥ずかしい」兄の嘲るためだけの言葉に唇を噛み締めた。キュアリスはこの世界で名高い貴族、リシュモン公爵家の末娘として生まれた……はずだったが。何不自由なく、ただ穏やかに暮らしていくのだと信じていたのにすべてが変わったのは、去年の春だ。魔力を持たず剣の腕もない妹のことを妬んだ兄が、趣味だった古代文献の研究を父に告げ口した。「あいつは家のお金を使って、役に立たないことにうつつを抜かしている」などと嘘を並べて。父はろくに話も聞かず叱ったし、母は何も言ってくれなかった。それからだ。存在がこの家から少しずつ消されていったのは。食卓から席がなくなり、家族の行事にも呼ばれずついには自室からも追い出された。復讐をすることに決め、秘密にしていた力を解放する。それは対象の存在を世界から消滅させる力。存在そのものを砂漠の砂が風に吹かれて消えるように、ゆっくりと消滅させるものだった。一度発動すれば効果は時間とともに浸食していく。お望み通り、記憶から消えましたね?