あらすじ
敵を滅ぼすだけなら、容易い。
だが、それだけでは彼女は育たない。
機械的すぎる同僚に嫌気が差し、剣と魔法の星へ探査機を送り込んだ宇宙要塞AI。
人間らしい感情を持つ彼がそこで救ったのは、政変によって追われる幼いエルフ、白羽(しらは)だった。
皇族の傍流に生まれ、宮廷の下働きとして暮らしていた少女。
将軍の裏切りによって皇族の大半が殺される中、彼女は姉と慕う皇女から、皇統の証たる魔導書を託された。
今や帝国の正統な継承者。
けれど、率いる兵も、治める土地もない。望むのは、祖国の再興と、命を落とした姉の仇を討つことだった。
AIは彼女への助力を約束する。ただし、狙いは別にある。
白羽を宇宙要塞の建造種族に成りすまさせ、彼女を通じて最高権限を手に入れるのだ。
しかし、その権限で自分に牙を剥かれては困る。だからこそ、彼女を教育しなければならない。
未開の密林を切り拓き、領地を築き、復讐のための力を蓄える。
魔法もまた、観察と検証によってその理を解き明かす研究対象。AIは白羽に、知識だけでなく、問い、考え、確かめるための方法を教えていく。
領地経営も、仇敵との戦争も、彼にとってはそのための教材だった。
ただ、彼は教えすぎた。
復讐のために学び続ける少女が、やがて彼の想定を超える力を得るほどに。
密林の開拓地から、星海へ。
理屈屋のAIと幼き継承者が紡ぐ、科学と魔法の建国戦記。