あらすじ
両親を亡くし、公爵代理である叔父に冷遇されている公爵令嬢ローザリンデ。
住まいは物置小屋。服はボロボロ。食べ物が欲しければ、自分で魔物を狩りに行くしかない。
「マリー! 今日はホーンラビットですわ!!」
「臭いので、早く川で血を洗ってください」
血まみれで獲物を持ち帰るお嬢様と、遠慮のないメイドのマリー。
そんな暮らしでも、ローザリンデは成人すれば家督を取り戻せると考えていた。
ところが叔父に呼び出されて会いにいくと。
「喜べ、お前に結婚の話が来ている」
命じられたのは、六十歳の伯爵との結婚だった。
嫁げば相続権は失われ、家督も結納金も叔父のもの。
「……私、逃げ出しますわ」
こうしてマリーを連れて屋敷を脱走したローザリンデ。
ところが、森で道に迷って三日。結婚から逃げても、空腹からは逃げられない。
そこへ現れたのは、巨大なワイバーン。
「マリー。良かったわね」
「はい?」
「三日ぶりのご飯よ!」
殴って倒す。手でちぎる。そのまま食べる。
これでも公爵令嬢である。
その後、魔物に襲われていた青年ユリウスを助けたローザリンデは、腹を空かせた彼をご飯に誘った。
差し出したのは、もちろん生肉。
「クソまずい!!!!!!」
「……出されたものに、文句言ってんじゃないですわよ?」
「いーや、これは料理への冒涜だね」
命は助けたのに、食生活にダメ出しされた。
剣はからっきしのくせに、料理のことになると譲らないユリウス。彼は調理道具を取り出し、ワイバーンの肉を焼き始める。
焼いたくらいで何が変わるのか。
そう思っていたローザリンデだったが、一口食べた途端――。
「決めましたわ……! 私、あなたと一緒に旅しますわ!」
これは王国の歴史を変える出会いの物語