あらすじ
「結婚式は予定どおり行う。ただし、花嫁だけ妹に替える」
婚礼まで、あと十二日。
百二十人の招待客を迎える準備をしていたイゾルデに、婚約者はそう告げた。
妹との関係は三か月前から。
両親も「姉なのだから譲りなさい」と、当然のように妹の味方をする。
会場も、料理も、花嫁衣装も、そのままでいい。
費用も準備も、引き続きイゾルデが引き受ければいいのだと。
――けれど、その婚礼を支えているのは、祖母がわたくしに遺してくれたお金です。
「では、費用は全額お二人で払ってください」
自分名義の契約を終え、家を出たイゾルデ。
豪華な結婚式が当然手に入ると思っていた二人は、次々と差し出される見積もりを前に、初めて支払う人がいないことに気づく。
一方、祖母の邸で暮らし始めた彼女を訪ねてきたのは、ラザール大公だった。
「何を食べたいですか」
誰かの好みなら、いくらでも答えられた。
けれど、自分の望みとなると、言葉が出てこない。
そんな彼女を急かさず、時には格好をつけて失敗しながら、大公は少しずつ距離を縮めてくる。
家族のために我慢してきた令嬢が、理不尽な要求をきっぱり断り、自分の好きなものと、好きな人を選び直す。
爽快な逆転と、不器用で甘い恋の物語。