あらすじ
中学三年生の林間学校。
班の中で孤立していた梅楸矢貢香は、夜の自由時間に一人で宿舎を抜け出し、月明かりに照らされた小高い場所で美しい月を眺めていた。
そこへ現れたのは、金色の瞳を持つ不思議な少年。
「こんばんは、うさぎさん」
彼との出会いによって、矢貢香の心は少しずつ変わっていく。
そして翌朝、矢貢香から辛かった記憶が消えていた。
それから十年。
二十五歳になった矢貢香は、月を見るたび、理由の分からない懐かしさと切なさを感じていた。
ある満月の夜、再び彼が現れる。
「こんばんは、うさぎさん」
その言葉を聞いた瞬間、十年間眠っていた記憶が、静かに蘇り始める――。