あらすじ

一六〇二年、アムステルダム。 デリバティブトレーダーだった俺は、四時十七分に心臓を止め、両替商の帳場の下働きとして目を覚ました。 東インドへ向かう会社が、金を集めている。主人が六百ギルダー出した。だが、渡されたものは何もない。証書も、券も、一枚もない。持っているという証拠は、他人の家の帳面に書かれた一行だけだ。 その帳面の第一頁に、細かい字でこう書き足されていた。 ——持分の譲り渡しは、簿記係を通じてこれを行うべし。 譲ってよい。つまり、売れる。券がないのに、売れる。 十年待てない未亡人と、金が海の上にある商人。二人とも正しくて、二人とも動けない。俺はその日、世界で最初の一枚を書いた。 そして三ヶ月後、その紙が破られないまま、何の役にも立たないことを知る。 制度には、理由がある。俺はそれを、四百年後から来て、この街で教わった。

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小説を読もう2026/09/08
  • 現在の作品転生先が世界最初の株式会社でした。株券が一枚も無いというので、帳簿の一行を売ることにします ~デリバティブトレーダー、最初の一枚を書いて、最初に負ける~