あらすじ
あさひは、東北の地方都市で生まれ育つ15歳の少年である。幼少期から施設で暮らした末、縁があり、地元で長年ピアノ教師をつとめる戸賀沢黎子の里子となるも、中学卒業を前に黎子は亡くなり、暮らしていた家の売却も決まる。両親がなく、里親をうしない、財産も、後ろ盾ももたないあさひは、それでも生きてゆく。あさひは、黎子から与えられた教えと思い出を胸に、音楽科高校を受験する。そこは、生前黎子が教壇に立った、小さくも歴史ある学院であり、60年以上もの間、男子生徒が在籍していなかった。一方、東京で財閥一族に生まれた雛子は、文化財そのものである邸宅に暮らし、宿命として高度な音楽教育を受けながら育つ。しかし、雛子の美貌は人間離れし、それを世界は無視するわけがなく、またたく間にトップモデルとなった雛子の声望は頂点を知らない。一族の使命、周囲の期待、そして、演奏家としての才能――彼女の立ち位置は揺れていた。ふたりの物語は、学院というひとつの舞台で交差し、多くの出会いへと繋がってゆく。音楽には、始まりがあって、終わりがある。しかし、人生はそうではない。終わりは次の始まりであり、対話がどこまでも続き、やがて受け継がれてゆく。
※不定期更新です