あらすじ
大学生の是枝香澄は、お金を稼ぐために始めたパパ活で危険な男に追われていた。
逃げ込んだ路地裏で、空から落ちてきた一冊の本――『源氏物語』。
本が放った光に飲み込まれ、香澄が目を覚ますと、そこはなんと『源氏物語』の世界だった。
そこで出会ったのは、この世のすべての美しさをまとった男――光源氏。
「香澄殿、ここに住まないか。気に入れば側室にはしてやるぞ」
「は! 偉そうに言わないで。私の生きる道は私が決める」
恋と和歌に生きる平安貴族と、自分の人生は自分で決めたい現代女子。
価値観はまるで噛み合わない。
それでも香澄は、元の世界へ帰る方法を探しながら源氏の屋敷で暮らすことになる。
藤壺、冷泉帝、そして六条の御息所。
『源氏物語』の人々と関わるうち、香澄は華やかな物語の裏側に隠された、それぞれの孤独に触れていく。
そして、誰のことも簡単には信じない香澄自身にも、少しずつ変化が訪れる。
帰るべき世界には、大切な祖母がいる。
それなのに、いつしか源氏の隣もまた「自分の居場所」になっていて――。
これは、恋を知らなかった現代女子と、
誰より恋を知っているはずなのに、本当に誰かを愛することを知らなかった光源氏が、
時代を越えて「愛すること」を知っていく物語。
【主な登場人物】
◆是枝香澄(このえ・かすみ)
現代から『源氏物語』の世界へ迷い込んだ大学生。
現実的で気が強く、自分の人生は自分で決めたいタイプ。
祖母への仕送りのためなら危ない橋も渡る一方、他人に頼ったり甘えたりするのは苦手。
光源氏の美貌にも権威にもまったく靡かない……はずだった。
◆光源氏
「この世のすべての美しさをまとった男」を自称する、帝の息子。
美貌、自信、女性遍歴、すべてが規格外。
香澄からは「ナルシスト」「変態オヤジ」など散々な扱いを受ける。
最初は珍しい香澄を面白がっていただけだったが、次第に彼女の強さと、その奥にある孤独へ惹かれていく。
◆藤壺
帝の后であり、光源氏が長年想い続けてきた女性。
冷泉帝の出生に関わる重大な秘密を抱えている。
秘密を守ることこそ愛する人々を守ることだと考える彼女は、「真実を知る権利」を重視する香澄と対立する。
◆六条の御息所
かつて光源氏と深い仲にあった、高貴で美しい未亡人。
源氏への愛と孤独を捨てきれず、その強すぎる想いはやがて思わぬ形となって現れる。
千年前の恋愛観なんて理解できない。
女好きで、自信過剰で、勝手な男なんて絶対に好きにならない。
――そう思っていたはずなのに。
「そなたの傍は温かい」
恋多き光源氏が最後に選ぶ「特別な人」とは。
現代女子×光源氏。
価値観の違いから始まる、時を越えた和風ロマンス。