あらすじ

その会社では、三年間、誰も辞めていない。 コードレビューの差し戻し、ゼロ。 本人申請の有給休暇、ゼロ。 健康診断の二次検査、受診ゼロ。 子どもが三十八度四分の熱を出しても、父親は一度も迷わずに仕事へ戻る。 社員たちは口を揃えて言う。満足しています、と。 神格鑑定局の再審委員、F。本人いわく「自称Fランク」。 彼には、神の等級を上げる権限だけがない。 そのFが再調査に選んだのは、 三年前に三級認定された「勤労意欲向上神・白励様」。 同行するのは、三年前にその鑑定書を書いた本人だった。 「意欲じゃありませんねぇ」 条件を三度変えても、答えが一度も動かない。 「この人たち、選び直せなくなってるんですよ」 そして神格鑑定とは、対象を測るだけの行為ではなかった。 書かれたとおりに、現実を固定する儀式でもある。 三年前、二年目の鑑定士が出した三級申請。 その誤った認定が、この神を実際に大きくしていた。 人間が誤って上げた神を、上げる権限を持たない男が落としに行く。 当然、落とされる神も黙ってはいない。 正しさではなく、事実で決める。

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カクヨム
カクヨム2026/09/07
  • 現在の作品神を落とすだけの男――自称Fランクの鑑定士