あらすじ
10歳の冬、小児科医だった母が突然いなくなった。
6年後。高校一年の鷹見凌は、父と弟の食事を作り、部活とバイトに没頭することで、母のことを考えないようにして生きている。あと一年で、母は法律上「死んだ人」にされる。
ある冬の夜、凌は眠りの中で母の声を聞く。
「もう、探さなくていいのよ」
声に誘われ、感情に侵食されかけた凌を救ったのは、精神世界で活動する神奈零華たちだった。だが現実へ引き戻された凌は、彼らにこう言い放つ。
「なんで、邪魔したんですか」
母を探すため、凌は自ら精神世界へ戻る。そこは、感情に飲み込まれた人が自分の道を取り戻すための場所だった。しかしその世界には、人に祈りを捧げ、感情を手放させようとする「使者」たちがいる。彼らの背後にいるのは──神と呼ばれる存在。
やがて凌は、こう考えるようになる。神様を殺せば、世界は救えるのではないか。
【登場人物】
鷹見 凌(たかみ りょう)/16歳
高校一年生。元サッカー部主将。10歳の冬に母が失踪して以来、父と弟の食事を作り続けている。夏が好きで、冬と眠ることが怖い。相手を完全に理解できなくても、自然に手を貸せる少年。
神奈 零華(かんな れいか)/24歳
精神世界で凌を救った女性。駆け出しのSF作家。左腕に義手。落ち着いた切れ長の目をしているが、戦闘では素が出て毒舌になる。「できてほしくないのよ」──凌の才能を、誰より喜ばない人。
九頭見 黎(くずみ れい)/42歳
192cm、眼鏡、独立系の経営コンサルタント。戦えない。波動と行動を読み、負けない状況を作る後方指揮役。冷静で皮肉屋。座右の銘は「逃げる」。
鏑木 仁(かぶらぎ じん)/32歳
元プロボクサー。現実では配送業。右目の視力を失っているが、精神世界では見える。攻撃を受けながら相手の懐へ入り、味方が救う時間を作る。熱血・人情派・天然。
鷹見 誠一(たかみ せいいち)/46歳
凌の父。元救急医で、現在は訪問診療クリニックを営む。妻の失踪について、息子に言えていないことがある。
鷹見 奏(かなで)/14歳
凌の弟。理論と工作に没頭する超天才。兄を心から尊敬している。兄が持ち込む相談を、格闘ゲームの話だと思って本気で答える。