あらすじ
この世界には、一つのヴァンパイア帝国と、いくつもの人間の王国・帝国が存在する。
人間の「母」と、ヴァンパイア帝国の貴族である「父」。
本来交わるはずのなかった二人の間に、一人の少年が生まれた。
人間でもない。
ヴァンパイアでもない。
どちらの世界にも完全には属することのできない、半吸血鬼。
そして少年には、幼い頃から一つだけ奇妙なことがあった。
お母さんが確かに呼んでいるはずの自分の名前だけが――なぜか「***」としか認識できない。
やがて迫害によって居場所を失い、名前さえ持たず生きることになった少年は、一人の女性と出会う。
彼女は読み書きを教えた。
人との接し方を教えた。
生きるということを教えた。
そして初めて、彼に新しい名前を与えた。
そんな彼の前に、やがて七つの門が現れる。
嫉妬。
憤怒。
強欲。
怠惰。
暴食。
色欲。
傲慢。
それぞれの世界を支配する七人の王。
その頭上には王冠があり、七つの異なる宝石が輝いている。
門を越えるたび、少年は力を手に入れていく。
同時に――自分自身の中に存在する「罪」と向き合うことになる。
なぜ、自分の名前だけが分からないのか。
なぜ、王冠は彼を選ぶのか。
そして彼は、本当は何者なのか。
散らばっていた過去の欠片が一つずつ繋がった時、少年は自分自身で答えを選ばなければならない。
これは、人間にもヴァンパイアにもなれなかった男が、
「自分が何者なのか」を自ら選び取る物語。