あらすじ
◆この世界について
・癒しの砦:傷や病を癒すための施設。
・癒しの陣:癒しの砦の中心にある巨大な魔法陣。古くなり、不具合が頻発している。
・魔導士《ヒーラー》:癒しの陣を使い、患者を治療する専門職。
・|渡りの魔法使い《ワンダラー》:受付・案内・雑用など、砦の周辺業務を請け負う者たち。
・型のギルド『フォーミスト』:渡りの魔法使いたちが所属する組織。簡単な仕事をまとめて請け負い、各施設に人を派遣している。型のギルドは、フォーミスト以外にも存在するらしい。
・記録係《スクライブ》:砦で起きた出来事を記録する仕事。目立たないが、現場の全てを見ている。
・精霊:誰もが一つは持っている、鏡に宿る存在。型通りの正しい答えを、淀みなく返してくれる。ただし、その答えには何かが欠けているらしい。
・石ころ:道端に転がっているただの石。主人公ソウマが癖でよく拾う。
◆物語のはじまり
記録係のソウマは、誰にも気づかれないまま、砦の混乱をいつも静かに収めてきた。手柄は、いつも別の誰かのものになる。
そんなソウマには、誰も気にも留めない小さなものを、つい拾ってしまう癖があった。道端の石ころも、そのひとつだった。
ある日、その石ころにソウマの精霊だけが違う反応を見せた。
何でも正しく答える精霊と、その正しさだけでは足りないと思っている記録係。噛み合わないようで、どこか息の合う二人が、この物語の中心にいる。
何気ない日常の観察が、少しずつ繋がっていく。ソウマはまだ、何も知らない。だがその先で、まだ見ぬ何かが、静かに動き始めていた。
※本作は長編の第1巻(全5話)にあたります。物語はこの先も続きます。