あらすじ

「算盤なんて、はしたない」――誰もがそう眉をひそめる後宮で、蘇明梨(そ・めいり)はただひたすら帳面と向き合っていた。かつては手広く商いを営む名家の娘だったが、父が着せられた横領の疑いのせいで家は没落。行き場をなくした明梨は、素性を隠して後宮の下働き――それも、誰もやりたがらない台所の帳簿係に潜り込んでいた。 「私はただの、算盤しか取り柄のない女官です」 そう装いながら大人しく暮らすつもりだったのに、ある日、後宮の会計に大穴が開いていることが発覚する。疑われたのは、明梨が仕えるお人好しな側室・董貴妃(とう・きひ)。このままでは横領の罪で流罪、悪くすれば死罪だという。 (また、これだ。数字が読めない人間ほど、平気で他人に罪をなすりつける) かくして明梨は、心の中で盛大に毒づきながらも、「ちょっと帳面を見せていただけますか」と、しずしずと一歩を踏み出す。その手には、亡き父から譲られたそろばん一つ。 没落した商家の娘は、そろばんの音を響かせながら、後宮の闇に隠された不正を、静かに、しかし容赦なく暴いていく――。

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小説を読もう2026/09/07
  • 現在の作品没落令嬢、そろばん片手に後宮を制す ~数字に強い下働き女官は、なぜか妃たちの命運を握るらしい~