あらすじ
侯爵家の花宴を手伝うソウルンは、三十鉢の春花を配る臨時差配役に押し上げられる。王都へ十八鉢、次は十七鉢。ところが冷血と噂される嫡男ソルステインは「残りは何鉢ですか」と尋ねるたび、理由も告げずに却下。人前で恥をかくのは、なぜか運び役のソウルンばかりだった。
三度目、彼女が差し出したのは王都へ十六鉢、領内の十四の療養所へ一鉢ずつ残す案。すると彼は初めて黙って退けず、窓辺の名を確かめ始める。壊れかけの荷車にたとえてぼやく彼女と、真顔で修理案を返す彼。二人の沈黙への誤解が、三十鉢の行方とともにほどけていく、不器用な春の差配のお話。