あらすじ
俺が手に入れた能力は【クエスト付与】。
他人にクエストを与え、達成した相手のステータスを上昇させることができる。
ただし、自分には使えない。
他人を強くして何が楽しいんだ。
そう思って、半年間放置していた。
――ある日、ネットで「危険なチャレンジ」についての記事を読むまでは。
簡単な指示から始めて、少しずつ要求をエスカレートさせていく。
それを読んだ俺は思った。
もし、脅迫の代わりに本物の「報酬」があったら?
クエストを達成するたびに可愛くなる。
頭が良くなる。
コンプレックスが一つずつ消えていく。
そんな報酬が本当にもらえるなら、人はどこまでクエストを続けるのだろう。
実験相手に選んだのは、隣の席の三浦琴音。
最初のクエストは、ただ友達に「おはよう」と言うだけ。
それから、勉強する。
運動する。
俺と話す。
俺と一緒に帰る。
一つクリアするたび、彼女は少しずつ変わっていく。
そしていつしか、クエストが表示されないだけで、彼女は落ち着かなくなり始めた。
もちろん、彼女は知らない。
そのクエストを作っているのが、隣に座っている俺だということを。
そして俺も、まだ知らなかった。
報酬を与え続けた人間が、どこまでクエストに従うようになるのかを。