あらすじ
終電を逃し、携帯の電源も切れた深夜。
川城透子は、見知らぬ山奥の駅に取り残されていた。
帰る場所を失ったわけではない。
仕事もある。趣味もある。幸せだって、きっとある。
それなのに、なぜか自分が何かを失くしてしまったような気がした。
雪の降る山を歩き続けた透子が辿り着いたのは、月明かりに照らされた静かな湖。
そこには、一人の少女がいた。
少女の名前は、アイ。
彼女は透子に「何を失くしたのか」と問い続ける。
そして、透子が忘れていた七年前の夢を言い当てる。
けれど、アイ自身もまた、この山奥で何かを待っているようだった。
「君は何を諦めたの?」
月が沈み、夜が明けるまで。
二人は、失ったものと、選ばなかった人生について話をする。
そして透子は、アイに一つの言葉をかける。
「……歩きませんか?」
――その少女は、一体誰なのか。
そして、彼女がこの場所で待っているものは何なのか。
山奥、月に君は何を見る?