あらすじ

電話が鳴ったのは、月曜の朝の六時四十分だった。 宮下さんは、十歳上の先輩だった。役職は係長のまま。それなのに部長も工場長も取引先も、困ると必ずこの人を呼んだ。 誰かに質問されると、必ず椅子を回して体ごと向き直る人だった。後輩のミスは黙って自分が報告に行った。初めて海外に行く俺のために、総務に掛け合って同じ家に住めるようにしてくれて、そのことを二か月間、一度も言わなかった。 くも膜下出血だった。四十八歳。 あんなに信頼されて、あんなに頑張って、結末がこれか。頑張ることは間違いなのか。俺は何年も答えを出せなかった。 今年、俺はあの人の歳を二つ越えた。 全5話・完結。

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カクヨム
カクヨム2026/09/07
  • 現在の作品あの人の歳を、越えてしまった