あらすじ
五年前、世界中に突如としてダンジョンが出現した現代。
高校一年生の朝倉悠真は、母のダンジョン病を治すため、放課後や休日に探索者としてダンジョンへ潜っていた。
だが、彼の探索者適性は最低のGランク。
半年間こつこつ努力を続けても、母を治すための治療アイテム――約十億円には到底手が届かない。
そんなある日、悠真は一個のモンスターエッグを手に入れる。
売れば約百万円。
それでも治療費にはほど遠い。
ならばいっそ、自分で孵化させてテイマーとしての可能性に賭けよう。
そう考えた悠真だったが――。
卵から生まれたのは、全長約二十センチ。
二足歩行する、小さな猫だった。
種族名――『ヌッコ』。
そして、その猫につけられた名前はニャル。
一見すると戦闘にはまるで向いていないニャルだが、実は前世の記憶を持つ転生者。
料理好きで、育成ゲームも大好きだった。
しかもニャルには、人類が危険物として扱っていた「ダンジョン食材」を、安全かつ美味しく料理する方法が分かるという、とんでもない能力があった。
「この飼い主、弱いな」
なら、育てよう。
ダンジョンで食材を集めて。
美味しく料理して。
いっぱい食べさせる。
すると――。
「……昨日より剣が軽いんだけど?」
なんと、正しく調理されたダンジョン食材には、食べた者を永続的に強くする力があった。
こうして始まるのは、
ダンジョンへ行って、
美味しい食材を持ち帰り、
猫が料理して、
飼い主が食べて、
少しずつ強くなる日々。
やがて料理する猫・ニャルの存在は配信を通じて知られるようになり、誰も食べようとしなかったダンジョン食材は、新たな料理文化へと広がっていく。
でもニャル本人がやりたいことは、そんな大それたことではない。
大切な飼い主に、美味しいものを腹いっぱい食べさせたい。
そして――もっと深いダンジョンへ行けば、もっと美味しい食材がある。
料理好きな転生猫と、最低Gランクの飼い主。
一人と一匹が、美味しいご飯を食べながらのんびり最強を目指す、猫×料理×ダンジョン育成ファンタジー。