あらすじ
その日、ホモ・サピエンス・サピエンスは、地上から消えた。
崩壊しかけたオゾン層。
降り注ぐ強烈な紫外線。
そして、人類の遺伝子に眠っていた“生存のための変異”が目を覚ます。
ブラジルで確認された、世界初の変異者。
人々はそれを異常な病気だと思っていた。
だが変異は、世界中で静かに始まっていた。
外資系ゼネコンに勤める主人公は、失敗ばかりで、毎日のように上司から叱られる平凡な会社員。
そんなある夜、会社の飲み会の最中。
直属の上司が突然――ハダカデバネズミへと姿を変える。
それを境に、世界各地で人間が次々と動物、鳥、魚、昆虫、さらには植物へと変異していく。
そして主人公自身にも、青い輪のような痣が現れ始める。
やがて彼が変異したのは、
猛毒を持つ、小さな海の生物。
ヒョウモンダコだった。
それから百年以上。
人類文明は海と森に呑まれ、かつての都市は野生生物たちの世界となった。
だが、変異した者たちの一部には、人間だった頃の記憶が残されていた。
人類は滅びたのか。
それとも、姿を変えて生き続けているのか。
八本の腕と猛毒だけを武器に、主人公は崩壊した世界を生き抜きながら、“人間だった者たち”を探していく。
人類は滅びなかった。
ただ――ヒトではなくなった。