あらすじ
帝国の第五皇子ノアは、戦場で死んだ。
敵に敗れたからではない。
味方であり、兄であり、次期皇帝最有力候補でもある第一皇子に――邪魔者として切り捨てられたのだ。
「悪く思うな、ノア」
その言葉を最後に命を落としたはずのノアが、次に目を覚ましたとき。
彼は五歳の頃へ戻っていた。
一度目の人生で能力を示し、人々から支持された結果、皇位を望んでもいないのに第一皇子から危険視された。
ならば二度目は逆を行けばいい。
勉強は、少し間違える。
剣は、わざと負ける。
期待されても、応えすぎない。
目指すのは英雄でも皇帝でもない。
誰からも脅威と思われない――「才能のない第五皇子」。
すべては、今度こそ生き残るために。
そうして順調に無能の評判を築いていたノアだったが、十歳の成人の儀で与えられた機体石は、一度目とはまったく異なる姿を生み出す。
黒い細身の機体。
巨大な長距離用の銃。
そして、ノアの右目と繋がった機体――《ヴェスパー》。
表では無能な皇子。
誰も見ていない場所では、未知の機体を少しずつ使いこなしていく。
今度こそ、目立たずに生きる。
ただ、それだけを望んでいた。
だが、一度目と違う道を選んだことで。
帝国の未来も。
皇族たちの運命も。
少しずつ、かつてとは違う形へ動き始めていた。