あらすじ
貴族も通う学園を卒業した六人。
彼らの目的は世界を救うことでも、名声を得ることでもない。
「いつかダンジョン最下層を攻略して、そこで宴会をする」
卒業記念で一階層に入ったときにしたその約束を、十年以上守り続けている。
しかし周囲から見ると、彼らは不思議な存在だった。
収納魔法を持つ青年、貴族家の執事、大手商会の経理、王宮から誘いを受ける料理人。
そこに、ときどきしか参加できない高位神官と高位貴族の後継者まで加わる。
本来なら英雄になれるような人材が集まっているのに、月に一回なぜか七階層で止まり、宴会をして帰るのだ。
そこでつけられた名前が「七階層パーティー」。
王宮でも商会でも、それぞれの重要な仕事を任される彼らだが、七階層では誰も肩書きで呼ばない。
そこにいるのは、卒業の日に約束を交わした六人の友人だけだ。
彼らはいつまで六人で集まれるのか。
攻略よりも「仲間との時間」を大切にする六人の物語。
否応なく変わっていく状況の中、仲間との時間を守りながら、自分自身の人生にも踏み出していく。
【勝ちと負け】
彼らにとってダンジョン攻略とは、戦闘だけではない。
六人全員がそろい、最高の鍋を作り、誰も怪我をせず、収支を黒字にし、片付けまで終えて、予定どおり帰宅する。
そこまでできて、ようやく「勝ち」である。
【登場人物】
◆ アレン・グランフォード
収納魔法持ち。
高級家具を扱うグランフォード商会の末っ子。
仲間とダンジョンに行くため、家の手伝いも、大手商会からの誘いも、有名冒険者からの誘いも断り、個人で荷運びを請け負っている。
荷物管理担当。
明るく人付き合いが得意で、六人を繋ぐ中心人物。
◆ キース・ローデン
下級貴族出身。
アルヴェリウス侯爵家に代々使える家で、執事見習いとして働いている。
礼儀、衛生、危機管理担当。
戦闘能力は高い。
平時は穏やかだが、有事では誰より冷静。実際には一番怖い人。
◆ トマ
庶民出身。
セリオ伯爵家付き料理人の子で、自身も料理人。王宮からの勧誘は断る。
食事担当。
ダンジョン素材で料理する天才。
お腹が空いている人に料理を食べさせたがる。
信条「美味しいものは、みんなで食べた方が美味しい」
◆ ヘルド
庶民出身。
ヴァイス商会経理。
優秀で、在学中から大手のヴァイス商会へ就職が決まっていた。
経理・戦闘・安全管理担当。
ダンジョン十年分の収支記録を付け続けている。
名言「怪我をしたら赤字です」
◆ シオン
神学校へ行かなかった変わり者の神官。
治癒魔法担当。
一番まともそうで、一番行動力がおかしい人。
必要とされているから参加しているわけではない。「面白そうだから」という理由で同行し、そのまま十年続いている。
◆ ユリウス・ヴァレンシュタイン
公爵家の跡取り。宰相補佐
将来の宰相候補。
戦闘担当。
幼少期から剣術・魔法教育を受けているため実力者だが、めったに活躍しない。
学生時代は四人とあまりかかわりがなかったが、卒業記念のダンジョンに同行してから交流が続いている。
【世界観】
◆ 通っているダンジョン
・全十階層の中級ダンジョン。
・難易度中級。
・三日程度で攻略・帰還可能。
・セーフティーエリアあり。
・攻略後は自動転送されず、自分で帰ってくる必要がある。
◆ なぜ同じダンジョンに十年通っているのか
・休暇が三日しか取れない
・移動時間を考えると最適
・食材がダンジョン内で賄える
・過去の攻略データが蓄積している
・セーフティーエリアを熟知している
・だいたいいつも七階層まで進んで、宴会をして帰ってくる
十年通い続けた結果、本職の冒険者ではないのに、
・ダンジョンの異変調査
・新人救助
・安全地帯の情報提供
などで頼られる存在になる。