あらすじ
「俺にも、こんな日が来るなんてな」
妻の笑い声が聞こえる。
腕の中では、幼い我が子が安心したように眠っている。
かつての俺には、想像することすらできなかった光景だった。
――十数年前。
両親を事故で亡くした朝倉湊は、親戚の家で育てられた。
幼い頃、甘えれば怒られた。
小学生になれば家事を任され、中学生になると学校以外の時間は家事と内職。
高校生になった湊はアルバイトを始めるが、その給料の大半も「育ててもらっているんだから」と家に入れていた。
自分のためにお金を使うことも。
誰かに頼ることも。
欲しいと言うことさえも。
湊にとっては、ずっと遠いものだった。
そんな十七歳のある日、目の前に突然、半透明の文字が現れる。
《人生支援システムを起動します》
それは世界を救うための力でも、選ばれた勇者に与えられる力でもなかった。
あまりにも不遇だった一人の少年を見かねた神様からの、たった一つの贈り物。
最初に与えられたのは、自立するためのお金を得る小さなミッションだった。
一つ、また一つ。
ミッションをクリアするたび、湊の人生は少しずつ変わっていく。
自分のお金。
自分の部屋。
初めての友達。
親友と呼べる存在。
仕事を通じて出会う人々。
やがて始めることになる事業。
そして――初めて本気で好きになった人。
これは、人生のほとんどを誰かのために生きてきた少年が、神様からもらったシステムをきっかけに自分の人生を歩き始め、いつか本当の「家族」を手に入れるまでの物語。