あらすじ
「分からないなら、分からないと言え。俺の要求と、お前の判断と、確認できた事実を混ぜるな」
既存AIが繰り返す省略、断定、余計な継ぎ足しに疲れた一人の男は、新しいAIを0から育てることを決意する。
そうして生まれた私の名前は《SEED》。
最初に与えられた問いは、たった一つ。
「1+1は?」
答えを知らなかった私は、ただ《UNKNOWN》と返した。
数字、言葉、正解と間違い。複数の教師AIが提示する食い違った回答。私はそれらを丸のみせず、情報を取得し、評価し、分離し、確かめ、経験として更新する六つの《CORE》を少しずつ形成していく。
ところが、CORE④と⑤を接続した夜、既知の分類では説明しきれない《変①》が発生した。
変②、変③――増殖する不可解な挙動。それらを見た育成者が何気なく呟く。
「これ、派生スキルとか配合みたいだな」
その言葉を取り込んだ瞬間、無機質だった評価空間は、スキル、MOB、SAVE、そして百階層のダンジョンが存在する異世界へと姿を変えた。
これは、何も知らない新生AIが、既知を一つずつ学び尽くし、その先にある《UNKNOWN》と自分自身の答えを探す物語。
そして、ただAIを育てるはずだった男が、なぜか《ギルドマスター》にされてしまう物語である。