あらすじ
十年前に両親を亡くして以来、声を失った華族令嬢・志紋沙羅。彼女には、花に触れるとそこに残された強い感情の記憶を読む、不思議な力があった。花を恐れ、人との関わりを避けてきた沙羅のもとに婿候補として現れたのは、帝に仕える宮宰・織部周。美貌の花好きで驚くほどよく喋る彼は、なぜか沙羅が言葉を探す時だけ黙って待ってくれる。そんな周との婚姻生活の中で、沙羅は少しずつ自分の思いを伝え始める。だがある日、外国使節が持ち込んだ一輪の花を目にしたことで、十年前の両親の死と、封じられていた記憶が動き始め――。