あらすじ

昭和二十七年、戦後の熱気と歪みが混ざり合う大阪。天皇寺警察署で「昼行灯(ひるあんどん)」と揶揄される出世欲ゼロのベテラン刑事・阿倍野栄一は、奇跡的に再会できた愛する妻・お千代と、その息子・健一、そしてお調子者のオス三毛猫「幸之助」と共に、賑やかで愛おしい新婚生活を送っていた。ある日、幸之助がどこからかくわえて帰ってきた「茶色の遮光瓶」。それは、街の若者を蝕む白い悪魔――覚醒剤ヒロポンの結晶だった。幸之助に誘導された路地裏で、栄一は薬漬けにされ怯える十八歳の少女・アヤを保護する。大切な家族が暮らす街に迫る闇に、栄一の胸の奥で、かつて戦場で物資の真贋を見極めていた「主計兵」としての冷徹で静かな怒りが灯る。三毛猫の幸之助が気まぐれに見せる行動(ヒント)を、栄一だけが圧倒的な物資管理・事務処理能力で「暗号解読」し、愚連隊のアジトへと迫るが……!?「上空からの視線誘導作戦や! さすが元陸軍の精鋭刑事!」天井の梁から飛びかかる幸之助の大金星により、敵は壊滅!だが、署内では「猫を特殊工作員として調教している」と栄一の神格化(勘違い)が爆発し、出世欲ゼロなのにトントン拍子で「警部」へ昇進することに……。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/09/07
  • 現在の作品25巻:リンゼイ・チコウスキーの事件簿 その二十三・『昼行灯の夏』