あらすじ

人間が魔力で身体を強化し、 指揮官の魔法が何百人もの兵士をひとつの「魔律網」で繋ぐ時代。 アーデルベルク帝国とオルセーヌ共和国の戦争は、三か月で終わると言われながら四年目を迎えていた。 西部戦線・メルツェン戦域。 そこに、一人だけ異質な兵士がいる。 アラタ・ヴァイス、二十二歳。一等兵。 聴律器は使えない。 指揮官からの魔法支援も受けられない。 味方の位置を映す戦域盤にも、その姿は映らない。 そして彼自身もまた、他の兵士へ魔法による加護を与えることができない。 前線の兵士たちは、そんな彼を嘲るように呼んだ。 ――“無加護のヴァイス”。 軍の評価だけを見れば、落ちこぼれ。 だが。 他者へ広げることも、他者から受け取ることもできない魔力を、 アラタはただ一人――自分自身へ集中させる。 筋力。 反応。 感覚。 呼吸。 神経。 本来なら一人の兵士が到達できない領域まで、己の身体を強化する。 砲弾の音を聞き分け。 敵が引き金を引く前の動きを読み。 誰の支援も受けないまま、四年間最前線を生き延びてきた。 そしてある日。 帝国皇女にして十八歳の少佐、 “帝国の薔薇”エレオノーラ・フォン・アーデルベルクが、地図には存在しない彼を見つける。 「あなたは――どうして、地図にいないの?」 戦争を動かすことに長けた皇女と。 戦場を生きることに長けた一兵卒。 本来なら交わるはずのなかった二人の出会いは、 やがて四年間続く大戦と、帝国が隠し続けてきた秘密へ繋がっていく。

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カクヨム
カクヨム2026/09/07
  • 現在の作品泥濘の兵士と帝国の薔薇 ――魔法評価ゼロの落ちこぼれ兵士、戦闘能力を皇女に見出され直属の独立機動部隊へ