あらすじ
文正2年、御霊の森で起きた小さな戦が、やがて京全体を巻き込む大乱へと変わっていく。
畠山・斯波の家督争いに端を発し、山名宗全と細川勝元という、かつては舅と婿であった二人が、東西に分かれて争うことになる。将軍・足利義政の優柔不断、弟・義視の離反、そして京を焼け野原に変えた足軽たちの跳梁――。
冥府の官僚として下界を見つめ続ける吉田兼好は、公家や僧侶たちが地方へと逃れていく様や、宗全・勝元という二人の主導者が相次いで世を去ってもなお終わらない争いの虚しさを、静かに書き記していく。
十一年に及んだ大乱がようやく終わりを迎えた時、兼好の目には、次の時代――下剋上の兆しが、はっきりと映り始めていた。