あらすじ
公爵令嬢ロヴィーサは、父の葬儀の日に婚約を切られた。ロヴィーサは三年のあいだ病床の父に付いていた。婚約者である王太子マグヌスの払いは、その十年、公爵家が引き受けてきた。そのマグヌスは喪の席に現れず、使いが書付を読み上げただけだった。「喪の家と縁を結んでいる暇はない」。
ロヴィーサは泣かず、書付を受け取って柩へ戻る。この国では、当主の遺した文は葬儀の場で、列席者の前で読み上げられる。マグヌスはそこにいない。
父が何を書き残したかを彼が知るのは、婚約の縁で与えられていたものを失ったあとである。