あらすじ

生涯を拳法の修練に捧げてきた老人、榊玄斎。 仙闘流と呼ばれる拳法を極めるため、ただひたすら強さを追い求めてきた。 だが七十八歳となった今、ともに拳を交えた者たちは引退するか、すでにこの世を去っている。 弟子もいない。道場もない。 ようやく辿り着きつつある境地を試す相手さえ、もういなかった。 そんなある日、隣人の少年リクが何者かに誘拐される。 泣き崩れる母親を前に、玄斎は一人、少年を取り戻すため動き出す。 ナイフ。 拳銃。 大勢の悪党。 老いた身体を酷使しながら、それでも玄斎は拳を振るう。 そして彼自身、気づいてしまう。 ――楽しい。 人を救うための戦いでありながら、生涯磨き続けた技を存分に振るえることを、心のどこかで喜んでいる自分に。 やがて玄斎の前に立ちはだかるのは、かつてリングで人を死なせた元ヘビー級ボクサー。 強さを求め続けた二人の男が、少年の目の前で激突する。 これは、一人の老人が生涯最後に振るった拳と。 そのすべてを、黙って見ていた少年の物語。

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小説を読もう2026/08/18
  • 現在の作品我が拳、未だ届かず